肩関節拘縮に対する基本的な考え方

 

今回は肩関節の拘縮についてまとめていきたいと思います。

 

 

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肩関節の障害は、

  • 骨折や脱臼などの外傷後に続発する拘縮
  • 肩関節周囲炎をはじめとする変性

⇒これらを基盤に発生した拘縮が非常に多いです。

 

  • 関節包炎・腱板疎部損傷・上腕二頭筋長頭腱炎・腱板炎・肩峰下滑液包炎など、炎症後の修復反応として各組織間に癒着や瘢痕等で生じる。

 

そのため、

⇒運動療法では、対象となる組織のリモデリング過程を援助することが重要。

関節拘縮に対する治療戦略では、安定した関節の再獲得が最大の目的となります。

 

これは、各関節障害に対するリハビリテーションの共通した基本概念です。

 

安定した関節、不安定な関節については、次回にまとめていきたいと思います。

 

 

①関節拘縮と疼痛との関係

 

関節周囲には様々な感覚受容器が存在します。

 

その中でも疼痛を感受している侵害受容器は自由神経終末であり、肩関節では肩峰下滑液包において豊富に存在しています。

 

さらに自由神経終末は、肩関節周囲炎や腱板断裂(有痛性)で、多く認められることが分かっているそうです。

 

これらの疾患では、関節拘縮を有していることが多く、肩峰下滑動機構の機能不全が生じやすいとされています。

 

肩関節疾患における運動障害は、大別すると

  • 拘縮性運動障害
  • 疼痛性運動障害

 

に分類することができます。

 

  • 拘縮性運動障害とは


これは、関節運動に伴い、生理学的に伸びるべき組織が伸びない(伸張性の欠如)。
あるいは、滑走すべき組織が滑走しない(滑走障害)ために可動性ならびに安定性が損なわれるということです。

 

⇒偏った部位の拘縮は上腕骨頭の求心性を乱し、その運動は正常な軌道から逸脱しやすくなります。(oblique translation理論)

 

つまりここでいう

運動療法は、関節周囲組織の伸張性と滑走性の改善を図り、高度バランスを整えることが目的となる。

 

  • 疼痛性運動運動障害とは

一方、これは腱板・肩峰下滑液包、上腕二頭筋長頭腱などが炎症を基盤として発症し、疼痛により運動が制限された状態です。

 

基本的には拘縮を認めないものの、炎症の存在により侵害受容器の閾値は低くなっており、あらゆる運動で疼痛は容易に引き起こされます。

 

炎症が想定される部位にブロック注射を施行すると、診断的にも治療的にも方向性が定まりやすい。つまり、炎症部位を明確化することができます。

 

⇒注射の効果が高い場合は運動療法を行う上では重要な情報源となる。
併せて、消炎鎮痛を目的とした薬物療法も、疼痛をコントロールする手段としては有効です。

 

つまり、方針としては注射施行後の運動療法では、zero positionでのcuff pumpingにより薬剤を拡散させ、消炎効果を援助させる手段が有効とされています。

 

 

②関節拘縮と筋力低下との関係

筋力は、筋繊維の横断面積の増大や筋繊維数の増加によって増強します。


一方で、不動や廃用により筋容量が減少すると、筋力低下が生じます。これは筋繊維の数と太さの減少により筋が委縮するためです。


⇒つまり筋実質部の生理学的要因となります。

 

筋出力は運動ニューロンの興奮と筋繊維が収縮する場合によって大きくなります。

しかし、筋攣縮の発生や拮抗筋の緊張が高いと筋力低下や筋委縮を認めないにも関わらず、筋力がうまく発揮できなくなる。

 

⇒つまり筋出力不全とは、運動神経と筋接合部による生理学的要因となります。

 

 

この情報から何が言いたいかというと、

筋力や筋出力を高めるためには、適正な可動範囲と生理的な関節運動を行うための安定した関節の環境が必要条件となるということです。

 

 

③適正な可動範囲とは

  • 可動範囲の制限

肩関節は多方向に大きな可動範囲を有する関節です。しかし、可動範囲が狭いと、筋力や筋出力を発揮できる角度は制限されてしまいます。


⇒限られた可動範囲内でしか、筋力強化や筋出力を増大することができなくなります。

 

  • 非生理的な関節運動による影響

関節拘縮の存在は、生理的な関節運動から逸脱して不安定を伴うため疼痛や筋攣縮を誘発します。そのため、筋出力は不足し、この様な環境下で無理に筋力強化を行うと、筋委縮を助長することもあるそうです。

 

⇒適切な筋力強化を実施するためには、関節拘縮を改善させ、関節運動が行いやすい状態に整えることが望ましいと思われます。

 

 

安定した関節のまとめは次回にしていきたいと思います。