今回は肩関節上方支持組織の癒着と臨床所見との関連についてまとめていきたいと思います。
肩関節情報支持組織で癒着の問題が生じやすい部位は、
- 烏口肩峰アーチ下
- 腱板疎部(烏口上腕靭帯)
- 上腕二頭筋腱周辺組織
この3つになります。
これらの部位の癒着は可動域制限や疼痛を引き起こす原因となります。
〇烏口肩峰アーチ下と拘縮と臨床特徴
第2肩関節は、肩峰・烏口突起、ならびに両者をつなぐ烏口肩峰靭帯によって形成される烏口肩峰アーチとその直下を通過する大結節および腱板、肩峰下滑液包によって構成されています。
機能学的特徴は、以下の3つになります。
・烏口肩峰アーチが大結節の情報偏移を抑制する
・腱板を上方から抑えることで骨頭の求心性を高める
・腱板に生じる摩擦を肩峰下滑液包により軽減する
これらの機能により、腱板は烏口肩峰アーチの下を円滑に通過することが可能になります。
〇第2肩関節における烏口肩峰アーチ下の滑走障害
滑走障害の多くは、烏口肩峰アーチ下で滑走障害を意味している。
この場合、大結節と烏口肩峰アーチと間におけるインピジメントが問題となります。
〇滑走障害の要因
滑走障害の要因を大別すると、「解剖学的要因」と「機能学的要因」に分類することができます。
- 解剖学的要因
肩峰の骨形態や傾斜角度、骨棘の形成、烏口肩峰靭帯の肥厚などがあげられます。
⇒場合によっては外科的手術が必要となることがあります。
- 機能学的要因
上方支持組織の癒着に起因する肩峰下滑動機構の障害
後方支持組織の拘縮に起因する上腕骨頭の上方偏移
肩甲骨胸郭機能不全に起因する肩峰下腔の相対的狭小化
などがあげられます。
⇒保存療法が適応となります。
これらの要因があると、肩峰下滑液包と腱板に癒着が生じやすくなります。
このため、肩峰下での腱板のスムースな滑走(肩峰下を出入りする動き)が障害されるということになります。