肩関節における関節包靭帯の機能解剖学と臨床所見との関連

今回は、肩関節における関節包靭帯の機能解剖学についてまとめていきたいと思います。

 

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肩関節の関節包や靭帯組織を知ることは臨床上とても重要です。

 

運動療法を行う上で、これらのイメージできるかできないかで操作方法も変わるかと思われます。特に3Dでのイメージが大切かと思います。

 

これが全体の図となります。

 

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その中の関節包は、近位が関節唇の周囲、遠位が大・小結節から解剖頚にかけて付着しています。一部の肥厚した部分が関節上腕靭帯と呼ばれ、弾性を高めています。

 

肩関節では、関節包と関節上腕結節とは解剖学的に区分けすることが難しく、一体となって機能しています。そのため、両者をあわせて関節包靭帯と呼ばれています。

 

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肩関節の静的安定化は、この関節包靭帯の生理的弾性と、関節内圧が陰圧であることです。

また肩関節包は、上方では棘上筋、前方では肩甲下筋、後上方では棘下筋、後下方では小円筋によって取り囲まれ、しかも互いが強固に密着しています。

 

この部分には腱板深層の関節包側の繊維と関節包が結合している部位が混在し、腱板の張力が関節包の緊張を高めることで、さらに安定化が図られています。

その一方で、棘上筋と肩甲下筋との間、そして肩甲下筋と小円筋との間には、腱板が存在せず、前者を腱板疎部、後者を腋窩陥凹と呼びます。

 

 

  • 静的安定化機構の伸長肢位とその機能

肩甲骨側の肩関節包は、肩甲骨頚部から関節唇の周囲を包み込むように付着します。
上腕骨側の関節包は、解剖頚を囲む形で付着するため、下垂位では上腕骨長軸に対して

約45°外上方から内下方にかけて、斜めに付着します。

したがって、肩甲骨面上で約45°外転した肢位が、関節包全体の緊張が最も均一な状態となります。

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  • 上方構成体

肩関節を下垂位にすると、上方関節包が緊張します。
上方関節包の張力は、上腕骨頭の支点形成力とともに、骨頭を上方から支持しています。
上方支持組織には、前上関節上腕靭帯や中関節靭帯が存在し、上方関節包を補強しています。

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  • 下方構成体

肩関節を肩甲骨面上で外転にすると、下方関節包が緊張します。
下方関節包の張力は、上腕骨頭の支点形成力とともに、骨頭を下方から支持しています。
下方支持組織には、前下関節上腕靭帯、後下関節上腕靭帯、腋窩陥凹が存在し、下方関節包を補強しています。
また、下方支持組織の中で最も厚い腋窩陥凹は、伸びやすく切れやすい物質特性があります。

 

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  • 前方構成体

肩関節の運動は、肩甲骨面を基準に分けることができ、肩甲骨面上より前方は内旋領域、後外方は外旋領域となります。

 

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肩関節の外転は外旋領域内の運動であるため、特に外旋運動を加えなくても前方関節包が緊張します。
このとき生じる前方関節包の張力は、上腕骨頭の支点形成力とともに、骨頭を前方から支持しています。
外転初期では上関節靭帯を中心として前上方関節包が緊張するが、角度が増加するにつれ徐々に中関節上腕靭帯、前下関節上腕靭帯へと緊張する部位が変化していきます。

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  • 前上方関節包・上関節上腕靭帯・烏口上腕靭帯

第1肢位で肩関節を外旋すると、前上方関節包、上関節上腕靭帯が緊張する。これらの組織の緊張は、第1肢位における骨頭の前方不安定性を制動する。

  • 前方関節包・中関節上腕靭帯

肩関節を軽度外転位(約45°)で外旋すると、前下方関節包と中関節上腕靭帯が緊張する。これらの組織の緊張は、軽度外転位における骨頭の前方不安定性を制動する。

  • 前下方関節包・前下関節上腕靭帯

肩関節を第2肢位で外旋すると、前下方関節包と前下関節上腕靭帯が緊張する。これら組織の緊張は、第2肢位における骨頭の前方不安定性を制動する。

 

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  • 後方構成体

肩関節の屈曲は内旋領域内の運動であるため、特に内旋運動を加えなくても後方関節包が緊張します。
このとき生じる後方関節包の張力は、上腕骨頭の支点形成力とともに、骨頭を後方から支持しています。
屈曲初期では後上関節包が緊張するが、角度が増加するにつれ徐々に後下関節包や後下関節上腕靭帯が緊張します。

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  • 後上方関節包

第1肢位で肩関節を内旋すると、後上方関節包が緊張します。後上方関節包の緊張は、第1肢位における骨頭の後方不安定性を制動します。

  • 後方関節包

肩関節を肩甲骨面上に軽度外転位(約45°)で内旋すると、後方関節包が全体として緊張します。この組織は、結滞動作や肩関節伸転位からの内旋により緊張します。

  • 後下方関節包・後下関節上腕靭帯

肩関節を第3肢位で内旋すると、後下方関節包や後下関節上腕靭帯が緊張します。これら組織の緊張は、第3肢位における骨頭の後方不安定性を制動します。

 

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これらのイメージをまずは作っていきましょう。