今回はパーキンソン病の介入について、まとめていきたいと思います。
パーキンソン病に対する運動療法を行う上で重要なキーワードの1つとなるのは、
バランスに着目する必要があります。
パーキンソン病の姿勢異常は、体幹の屈曲と側屈を中心とするが、全身に及びます。腰曲がりや首下がり、ジストニーなど特徴的な示す症例もいるそうです。
さらに固有感覚や体性感覚情報の統合がうまくできず、運動感覚の移乗を示すことも報告されています。
⇒これは、身体内部表象の障害であり、どのような姿勢をとっているか、どの程度動いたかなどが知覚されず、結果として運動計画のエラーや運動出力の低下として現れることが考えられます。
この結果フィードバック制御のみならず、フィードフォワード制御にも影響を及ぼしてしまうことが考えられます。
ボバース概念の中でバランスとは、
- 複雑であり、多次元の概念
- 運動パターンと姿勢制御戦略の計画と実行を可能にする多システムの統合が必要で、平行維持するためにすばやく効率的に不安定を予測し、応答する
- 個々の目的や環境の状況に依存する
とされています。
一方で、4大兆候の1つに姿勢反射障害が含まれているが、姿勢反射に焦点を当てているわけではないとされています。要素しては、以下の6つで成り立っています。
- 生体力学的制約(運動の自由度、強さ、安定性の限界)
- 運動戦略
- 感覚戦略
- 空間におけるオリエンテーション(重力、支持面、垂直性)
- 力学的制御(歩行)
- 認知過程(注意、学習)
つまり、介入に至ってはこれらの要素を含めながら、統合的に練習を進めていく必要あります。
パーキンソンに限ったことではありませんが、臨床推論を進め、深める必要があるということになります。
このようなことを考えて、運動療法におけるキーワードは
- 全可動域の獲得
- 体軸内回旋の獲得
- 抗重力伸展活動の改善
- 多関節運動連鎖の改善
- 動的バランスの獲得
- 自動運動と随意運動の協調
- 課題における運動の連続性
これらの項目を同時に進めていく必要があります。
これらをまとめていくと、被殻出血の人も同じような障害をもつ可能性があることがなんとなく見えてきます。 姿勢や運動制御を変化させていくとう観点は脳卒中の治療概念と同じような気がします。