今回も失行についてまとめていきたいと思います。
前回まとめたのは失行の定義とLieapmannについてだったと思います。
今回は、失行という概念を整理していきたいと思います。
結論から言うと‥
- 今のところ日本と海外では、apraxiaの範疇が異なります
- どの考え方が正しいかは重要ではないが、この背景を知っておくと、関連文献を読んだ時に混乱が少なくて済みます
Lieapmannの定義から続々と研究する人が増えてはいましたが、様々な議論をされているのが実情かと思います。
特に海外では、幅広く捉えられています。
日本は割とLieapmannに忠実な印象のようですが、言葉が少しずつ変化していきます。
ということは時代とともに変化していくものだということだと理解しておく必要があります。
観念運動失行とは?
- 言語命令や模倣命令に応じて使用の身振り(パントマイム)を正しく行うことができない
- さよならなど社会的信号動作ができなくなることがある
- 検査で指示するとできない動作が、日常生活では自ら行えることある(意図性と自動性の乖離)
- 実際に物品を使うことができる
- パントマイムの失行と呼ばれることがある
観念失行とは?
- 使用すべき道具の認知は保たれており、運動遂行能力にも異常がないのに、道具の操作に失敗する
- 動作の拙劣さによるのではなく、道具の使用に際しての困惑や誤りによる障害
- 「使用の失行」と呼ばれることがある
肢節運動失行とは?
- 麻痺がないにも関わらず、ボタンを留める、コインをめくる、手袋をはめる動作がぎこちなく、熟練性を失う
- 自発運動、模倣、道具の使用のいずれにおいても障害される
- 山鳥(1985)は、軽度な麻痺はあるが、それだけでは説明できない動作のまずさを「運動拙劣症」といっている
海外の考え方としてはどうなっているのでしょうか?
道具そのものの使い方もありますが、道具によっては、本来の道具の用途ではなく、目的によって変化することがあります。
何をいっているかというと‥‥
例えば、ドライバーがあるとします。本来の使い方はねじを回すものです。しかし、おもちゃの裏の電池を取り出したいとします。その場合に代用して使うことも考えられますよね。
機械的問題解決(技術的推論)という言葉があります。
これも失行症状の一部ではないのかということが言われています。
そのため、失行症状を分類することが重要ではなく、
道具を使う段階で分けて整理をすることが必要になります。
セラピストの方は、診断をつけることにこだわらず、患者さん本人を捉えるように心がけましょう。